恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
そんな事を考えながら眺めていると、草野くんもあたしの顔をじっと見つめてる事に気付いた。
不思議に思って首を捻ると、覗き込むように視線を合わせられる。
「どうかした?」
「桃井先輩、唇切れてますよ」
「えっ……あ、うん。そう。昨日ちょっと……」
「深そうですねー。痛そー。俺も結構割れたりするんで、見てるだけで痛いっす」
まじまじと見つめられて、頬が熱を持つ。
だけどそれは……、
草野くんに見つめられてるからじゃない。
傷を見られると、昨日の藍川との事を覗かれてる気分になるから。
あの、キスなんだか吸血行為なのか分からない事を、見られてる気分になるから。
「……っ」
「あれ、桃井先輩顔が赤いですけど、どうか……」