恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



「さすが藍川くん。挨拶完璧だったね」

「あれ考えたの、あたしだからね!」


体育館から教室への帰り道。

友達の祐ちゃんと話しながら廊下を歩く。


周りは教室に向かう生徒が溢れていて、人ごみもいいところだ。


「でもさー、藍川くんだってやりたくて会長になったわけじゃないんだから、仕方ないよ」

「それを言うならあたしだってそうなんだけど」

「だからくるみだってそんながむしゃらに頑張らなくたっていいと思うんだけど。

くるみだって、面倒な役を無理やり押し付けられただけじゃん。

それなのにそんな頑張っちゃってさー。本当お人よしだよね」


祐ちゃんは、肩まで伸ばした髪を揺らしながらため息をつく。

そんな姿さえうっとり見とれちゃうほど、祐ちゃんはきれいで、男子生徒にも大人気。

告白してくる男子を片っ端からバッサリと振るっていう暴挙に出ても、誰にも文句を言われたりしないし。


やっぱり美人の特権なのかなー。


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