恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「あ、会長。珍しいっすね。もう生徒会終わりましたけど」


草野くんの言葉を聞いても、藍川は少しの間あたしを見つめたまま止まっていた。

そして、ふいっと顔を背けて草野くんに視線を移す。


……ご機嫌は斜めのまま。


「気分が悪くて保健室で寝てた」

「あ、そっか。会長身体弱いんですもんね。大丈夫です。俺がちゃんと副会長支えて頑張りますから」


草野くんには藍川の機嫌の悪さが伝わらないのか。

任せてください! と言わんばかりに全開の笑顔を向ける。


そんな草野くんに、藍川はふっと笑ってから微笑む。


「頼もしいけど、俺も今度からはちゃんと参加するから。

……昨日のくるみの処置のおかげで、だいぶ身体も楽になったし」

「処置?」

「そのせいでくるみの唇に傷を付けさせちゃったけど。……今度は俺が看病する番だな」


ハテナマークを頭いっぱいに浮かべている様子の草野くんに、慌てて話しかける。

顔が異常なくらいに熱いけど、そんなの構ってる場合じゃない。



< 130 / 343 >

この作品をシェア

pagetop