恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「そ、そう! あたし、ちょっと熱っぽくて! だから藍川が代わりに生徒会をまとめる番って事っ。

じゃ、じゃあ、草野くん! 明日よろしく!」


かみながらもなんとかそう言うと、草野くんは少しだけキョトンとしてたけど、すぐに笑顔を作って、

「了解です!」と元気よく答えて階段を下りて行った。


草野くんの後ろ姿を見ながら、ほっとため息をつく。

そして、勢いよく振り返って、しれっとしている藍川をキっと睨む。


「変な事言わないでよっ。草野くんにおかしく思われたらどうするの?」


当たり前の事を言ったのに、それがどうやらお気に召さなかったみたいで。

藍川は不機嫌そうに言う。


「……別に」

「別にって……色々勘ぐられて、藍川の、その……例の事に気付かれちゃったら大変なのは藍川でしょ!」


「もっと気をつけてよ」言うと、藍川は少しだけびっくりしながらあたしを見た。


「……なに?」

「まさか俺の事を気にしてたとは思わなかった」









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