恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
やけになってたわけじゃない。
だけど、あまりに藍川がヴァンパイアって言葉にばかり拘る(こだわる)からイライラしてた。
『人間』だとか『ヴァンパイア』だとか。
そんなフィルターを外したかった。
あたしは、そんなの意識できないほど、藍川が好きなのに。
気付いた時には、信じられないくらいに心が藍川に引き寄せられていて、そのまま藍川から離れようとしなかった。
ついこないだ気付いたばかりの気持ちだって事が嘘みたいに、すごくすごく……。
とても深い位置で、好きだって思ってるのに。
なのに、藍川はそんな目先の事実ばかり気にするから。
人間かヴァンパイアかなんて、そんな事を気にする藍川が悔しかった。
キっと睨みながら言うと、藍川はふっと笑みを零す。
そして、困ったように笑った。