恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
分からなかったけど、俯いて視線を伏せる藍川の頬を両手で掴んで、目を合わさせた。
悲しそうな瞳の藍川と視線を交わして、そのまま告げる。
「俺のせいだって言うなら、責任とって」
「責任?」
「あたし……藍川の正体がなんだって関係ないくらいに、藍川が好きみたいなんだから」
聞いた藍川の瞳が、動揺からか揺れる。
「いつからか分からないけど……、藍川の声だけが特別に聞こえて、藍川の姿だけが他と違って見えるの。
藍川だけが、特別な存在に思えて……好きで、大切で仕方ない」
じっと見つめながら言ったあたしを、藍川が驚いた瞳で見つめる。
自分が信じられなかった。
学校の廊下で、しかもこんな強気に告白しちゃうなんて……。
だけど、なぜかそこまで緊張はしてなくて。
藍川に伝えたい。
藍川に分かって欲しい。
その気持ちだけでいっぱいだった。
藍川にこんな風に気持ちを伝える事が当たり前に思えちゃうのは、なんでだろう。