恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


分からなかったけど、俯いて視線を伏せる藍川の頬を両手で掴んで、目を合わさせた。

悲しそうな瞳の藍川と視線を交わして、そのまま告げる。


「俺のせいだって言うなら、責任とって」

「責任?」

「あたし……藍川の正体がなんだって関係ないくらいに、藍川が好きみたいなんだから」


聞いた藍川の瞳が、動揺からか揺れる。


「いつからか分からないけど……、藍川の声だけが特別に聞こえて、藍川の姿だけが他と違って見えるの。

藍川だけが、特別な存在に思えて……好きで、大切で仕方ない」


じっと見つめながら言ったあたしを、藍川が驚いた瞳で見つめる。


自分が信じられなかった。

学校の廊下で、しかもこんな強気に告白しちゃうなんて……。


だけど、なぜかそこまで緊張はしてなくて。


藍川に伝えたい。

藍川に分かって欲しい。


その気持ちだけでいっぱいだった。


藍川にこんな風に気持ちを伝える事が当たり前に思えちゃうのは、なんでだろう。



< 136 / 343 >

この作品をシェア

pagetop