恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
言葉にして、初めて気付く。
何度も何度も……。
過去に、こうして想いを伝えた事を。
『あたし以外に、触らないで……っ』
『あたしは、全部含めて、紫貴が好き―――……』
確かに、何度もそう伝えた。
失われた記憶。
それにかぶせられた殻にひびが入る。
じわじわと広がっていくひび。
そこから漏れ出す、ひどく曖昧でぼんやりとしている記憶が、もどかしくて仕方ない。
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