恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「あたしもキレイになりたい……」
ぼそっと呟くと、それを聞き逃さなかった祐ちゃんが二っと笑って、あたしの肩を抱き寄せる。
「くるみ、可愛いじゃん。萌え系、お嬢様系半々くらいで可愛いと思うけどなー。
長い髪も似合ってるし。
だから一週間前みたいな逆ハー現象が起こるんだよ。
可愛い上にお人よしだから、みんながみんなして期待しちゃって。分かってる?」
祐ちゃんの言葉に思い出される出来事に、苦笑いを浮かべて視線を逃した。
先月、あたしにはどうやら人生の『モテ期』が訪れたらしく、一ヶ月の間に3人に告白された。
違うクラスの人だったから、よく知らないしって理由で断ったつもりだったのに……。
あたしの断り方が曖昧だったのか、見込みありと勘違いされて、3人が3人とも『友達でいいから』とか言い出して。
3人して競うように毎日の送り迎え。プラスして、学食への誘いが繰り返された。
「だって、事情を聞いたら3人とも真剣で……ちゃんと断ったけど、『それでも一緒にいたいだけだから』って言われて、それで……」
もごもごと言い訳をすると、祐ちゃんはあたしの肩を抱いたまま首を傾げる。