恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
異端児? って、藍川が?
いい意味でのなのか、悪い意味でなのか……。
考えたけど、でも今の会話の流れからすれば悪い方だよね?
……藍川が?
成績優秀で、推薦で生徒会長なんかやってるのに悪い意味での異端児?
疑問符ばかりを頭に浮かべていたあたしの視線の先で、杏子さんは表情を崩さないまま口を開く。
「ところで紫貴様。
こちらの方と随分親しいようにお見受けできますが、紹介しては頂けないのでしょうか」
ちらりと視線を向けられて、ドキっとする。
じっと視線を返していると、あたしと杏子さんの間に割って入るように、藍川が前に立った。
視界を全部藍川の背中で覆われる。
不思議に思って覗くように見上げると、藍川の真剣な横顔が目に映る。
それは、少し怖く思えるくらい……。