恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


こほん、と咳払いをして、前にいる祐ちゃんに改めて答えようと……したのに。


今のやりとりで答えが分かった様子の祐ちゃんは、驚いた表情を浮かべた後、それを喜びに変えた。


「ちょっとー、すごい! 藍川くんって校内一のモテ男なのに~! 

え~……、びっくりなんだけど!」

「……そんな大声でそれ以上言わないで。注目されちゃいそうじゃん」


あまりに騒ぐからそう言うと、祐ちゃんに「何言ってんの?」なんて顔をしかめられる。


「もう朝から学校中がその話題で持ち切りだし。

とりあえず今日は、休み時間になるたびに質問攻めにあうと思ってた方がいいんじゃない?」


確かに挨拶運動してた時、他の学年の生徒達まで噂してたんだから、同じクラスの子達が知らないわけないけど。


今日1日が憂鬱になってきて、ため息を落とすと、藍川が言う。




< 149 / 343 >

この作品をシェア

pagetop