恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


「俺の近くにいれば平気だろ」


それは、2人きりでいればみんなが気を使って話しかけられないからなのかな。


……それとも。

藍川が人を寄せ付けないオーラを放ってるから、その近くにいれば誰も寄ってこないから?


きっと両方の理由なんだろうけど……それじゃ、心臓が持たないかも。


藍川の近くにいると、ドキドキする半面で、やけに落ち着いてる自分に気付く。

それは、ただ近くにいる時も、話している時も、触れている時でさえ。


緊張している自分と、心の奥で安心してる自分。

そのジレンマが胸を騒がせるから、藍川と一緒にいるのも楽じゃないんだ。


安心してる自分は、きっと忘れている記憶からくる感情だろうから。


一緒にいると、触れ合っていると安心するほどに、藍川は近くにいる存在だった。

誰に聞くでもなく、きっとそうだったんだって自分で確信できるから。


そんなにも大切な存在だった藍川との記憶。

それを思い出さなくちゃって気持ちが高まって、あたしを責める。



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