恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


その日の昼休み、急に担任に呼び出された。

しかも、藍川も揃って。


まさか担任にまで「付き合ってるのか?」なんて聞かれたらどうしよう! とか本気で考えたのは、色ボケのせいじゃなくて、朝から騒ぎ立てた祐ちゃんのせいだ。


担任が話し出したのは、朝の挨拶運動の事だった。

予想が当たらなかった事にほっとする。……普通に考えたら当たり前だけど。


「他校の生徒と話し込んでいたそうだけど、何か問題でもあったか?」


なんて探りを入れてきた先生に、藍川は。


「近隣の高校への転入生らしいんですけど、間違えてうちの学校に来てしまったようだったので道順を教えただけです。

先生が心配されるような事は何一つありませんでしたよ」


そんな嘘を、営業スマイルで言いのけた。



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