恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
自信満々な言葉と、普段からの藍川の信頼のおかげで、
先生はまったく疑うことなく「そうか。まぁ、そんな事だとは思ったんだよ」なんて安心しちゃって。
藍川の信頼の影にはあたしがいるのに。
藍川がすました顔して笑顔を作っているから、むっとしながらその顔を見上げて視線でそれを訴えた。
「ねぇ、ところで、朝の杏子さんって子が言ってた元帥って何?」
職員室から出たところでそう聞くと、藍川はあたしをちらっと見た後、廊下の先に視線を戻す。
「さぁ」
「さぁ、って藍川と杏子さんで会話が成り立ってたじゃん。知ってるんでしょ?
異端児とか、藍川がバカにされてるみたいで嫌だったんだけど。
なんで何も言い返さなかったの?」
今まで2人きりになる事がなかったから聞けなかったけど、朝からずっと気になってた事。
やっと答えがもらえると思ったのに……。
藍川は聞こえなかったように黙ってただ歩く。