恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「ねぇ、無視とか……あ、パン買わなくちゃ」
問いただしてやろうと思ってたけど、ぐぅっと鳴ったお腹がお昼ご飯を思い出させて、思わず会話を止めた。
今日はお弁当を持ってこなかったから、購買でパンを買わなくちゃだったんだ。
お財布は持ってないけど、ポケットの中に500円玉が入ってるしそれでなんとかなるって判断して、教室に向かっていた足を止めて方向転換する。
「あたし、購買行ってくるから先に戻ってて」
「じゃあ俺も」
着いてこようとする藍川を、手で止める。
「いいから。……藍川と一緒に歩いてると視線が痛いんだよね。昨日の事があるせいか。
なんか女子にすっごい睨まれるからひとりで行く」
その後も着いてくるってきかない藍川をなんとか納得させて、購買に寄って。
一人で歩いていても十分痛い視線を感じながら、目的のパンを買って教室に向かっていた時。
不意に視線を感じて、窓の外を見た。