恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「そういえば、一年の時に、くるみにかなり熱をあげてたヤツいたじゃん。なんだっけ……あの、校門前のコンビニ店員」
「村田さん……」
「そうそう! 村田! あいつ本当にしつこくて、いい加減くるみが危ないんじゃないかって思ってた矢先に、姿消してさー。不気味だったよね、アレも。
どこに潜伏したんだろうね」
「話題に出さないでよ……」
思い出される村田さんの恐怖に、一つ身震いする。
レジで会計をする度に舐められるような目で見られて、それだけでも気持ち悪かったのに。
挙句、あたしが支払ったお金を自分のお金と交換して持ち歩いてるとかいう噂が立って。
村田さんのせいであのコンビニに立ち寄れなくなったし。
「くるみを好きになって付きまとうとロクな事にならない、とか間違った噂が立ちそうだよねー。
本当に不思議」
「……うん」
忘れたい村田さんは置いておいても、他の3人はあまりに偶然すぎる。
偶然が重なったにしても……おかしい。