恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
今まで普通に話してたし、結構失礼な事まで言ってたくせに、なんで急に……。
そんな風に思っていた時、背後に立つ人影に気付いた。
勢いよく振り向いたあたしの目が捕らえたのは……。
「藍川……、教室に戻ったんじゃなかったの?」
「遅いから探しにきた。……こんな事じゃないかと思ったし」
少し不機嫌にそう言った藍川が、杏子さんに視線を移す。
そして、あたしにくれた声よりも険しく怖く聞こえる声で話しかけた。
「元帥に伝えろ。俺は元帥達を許さない。
一年前の事は、許される事じゃないと」
「……お言葉ですが、」
「これ以上くるみを巻き込んだりしたら……、その時は覚悟を決めろと」
そう言った藍川の横顔が、とても冷たいモノに見えて……背中がぞくりとする。
覚悟って……。