恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「だけど、まだ10歳だったんでしょ? そんなの……それに、藍川、お兄さんがいるって言ってなかった?」
頭に浮かぶのは、国会の様子。
多少違うだろうけど、雰囲気からしたらあんな感じなんだろうし、あれを10歳の藍川がまとめるって……。
どう考えたって無理がある。
「兄貴は……、色々事情があって、その位置には相応しくないって判断されたんだろ。
それに、もちろん俺一人で取りまとめるわけじゃない。
実質的には元帥達が取りまとめてたけど、それにしても王家の後ろ盾がないと難しいからって。
名前だけ貸すようなものだったし、俺自身、両親の事があってから少しの間何もする気にもならなかったから。
特に反発もしないで、適当にそれを受け入れた」
表情一つ変えずに、両親の死を話した藍川。
だけど……そんな風に、自暴自棄になるほど傷ついてたんだっていうのが会話の内容から分かって、胸が痛くなる。
それを10歳の藍川は一人で耐えたのかな、なんて思うと……どうしょうもなく、苦しくなる。