恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「降参だ」と、藍川があたしを抱き寄せる。
あたしは藍川にまるっきり体重をかける体勢になってしまって、どうしようかとも思ったけど……。
抱き締められてる事に嬉しさを感じないわけがなくて、大人しく藍川の胸に擦り寄った。
トクトクと動く心臓の音が心地いい。
藍川を守るためだったら、血なんか惜しくない。
自然とそんな事が思えちゃうんだから、この気持ちはかなり大きくて深いんだと思う。
まるで、心の器をはみ出した気持ちが身体中を侵食しているみたいに、あたし全部で藍川を想ってる。
「あたしは確かに人間だけど……、でも丈夫だよ。藍川に血を吸われたくらいで、弱ったりしない。
例え弱ったって、それは一時的ですぐに治るんだから。人間の自治治癒力がすごいって言ったのは藍川じゃん。
だから……血が必要なら、あたしの血を吸ってよ。
他の女の子のなんか、吸わないで」