恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
藍川がつらそうに表情を歪ませた後、あたしを抱き寄せた。
そして、あたしを抱き締めたまま、上半身を起こす。
座ったまま抱き合うような体勢になっても、あたしは藍川の肩におでこをくっつけたままだった。
耳元には直接藍川の吐息があたって、ぞくぞくしたモノが背中を走っていった。
息が上がってる藍川は今、吸血衝動に駆られてるのかな。
そんな事を冷静に考えていた時、藍川の舌があたしの首筋を這った。
「……っ、」
ぴくんと身体をすくませたあたしの腰に、藍川の手が回る。
そして、耳元で再確認した。
「本当にいいのか?」
「……いい」
緊張が限界まで達していたけど、思いのほか声はきちんと出せたから安心した。
藍川に頷くことができたから。
藍川はあたしの耳にキスをすると、小さく息をついて、そして―――……。
鈍い痛みを、あたしの首に落とした。