恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「思ったよりも元気そうでよかった」
本当に安心したみたいな微笑みに、今までしていた自己弁護を諦めてこくんと頷く。
「だから頑丈だって言ったじゃん。クルミなんだってば」
あまりに見つめてくるから強がってそう言うと、藍川はくすりと笑う。
「ずいぶん柔らかくて甘いクルミだな」
「……おいしかった? 鉄っぽくないの?」
甘い、なんて言葉が気になって聞く。
だって血なんかどう考えたって甘くない。
まぁ、人間が自分の血をおいしいって思っちゃったらそこら中でおかしな事件が起こりそうだから、それでいいのか。
って事は、ヴァンパイアは味覚が人間とは違うって事?
色々と考えていると、藍川はそんなあたしをじっと見つめてから顔を寄せた。