恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「味見させてやろうか」
そう微笑まれて、きょとんとしている間に唇が重なる。
入り込んできた舌に、血の味を覚悟したけど……不思議とそんな事はなくて。
その代わりに感じたのは……、甘くも感じる口付け。
「ふ、…んっ……、」
それが何でだかなんて考えさせてくれないようなキスに、目を閉じて応じるのが精一杯だった。
藍川もあたしの血をこんな風に感じたのかな。
だとしたら、嬉しいけど。
「どうだった?」
キスを終えた藍川が、まだ近距離に留まったまま聞く。
「……甘かった」
素直に答えると、「だろ?」と、藍川が笑った。
その微笑みが、とても愛しそうにあたしを捕らえるから……。
恥ずかしくなって、藍川の胸を拳で押した。