恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
にこりと微笑まれて、顔が熱を持ったのが分かった。
なんで、平気な顔してそういう事を言うんだろう。
あたしの反応を楽しんでいるのかな。
そんな風に思うと、完全にからかわれている気がして面白くない気持ちになる。
とりあえず、じっと見つめてくる藍川をどうにかしてはぐらかそうと、話を逸らした。
至近距離で向き合う体勢は変わらないから、目も逸らしながら。
「……そういえば、杏子さん、変な事言ってたよ」
「なんて?」
あたしの髪を指先で遊びながら聞く藍川。
……雰囲気だけでとろけそうだから、止めて欲しいって思うのに。
嬉しさが勝手に広がる。
「藍川が……結婚とかそういうのをもう考えてるって。
それぐらいの覚悟がなければ元帥さんに逆らったりしないハズだって。
後で訂正しておいた方がいいんじゃない?」