恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


……藍川に、乾かしてもらった事があるのかな。


そう思うのは、相手が藍川じゃなきゃ、こんなにもドキドキしないと思うから。


忘れているのが藍川との事だったら。

きっと今ぼんやりとしか思い出せない事は、全部藍川に関係しているハズだって思うから。


だけど……。

だとしたら、藍川はなんでこの部屋に来た事があるの?


この部屋であたしの髪を乾かすなんて……まるで、一緒に住んでたみたいだ。

一緒に―――……、


「一緒に、住んでた……?」


そんなわけない。

だって、藍川とあたしが一緒に住むなんてありえない。

恋人同士だったにしても、おじさんもおばさんもいるこの家で、藍川と同居なんて……。


おじさん達が許すハズがない。


< 201 / 343 >

この作品をシェア

pagetop