恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
……藍川に、乾かしてもらった事があるのかな。
そう思うのは、相手が藍川じゃなきゃ、こんなにもドキドキしないと思うから。
忘れているのが藍川との事だったら。
きっと今ぼんやりとしか思い出せない事は、全部藍川に関係しているハズだって思うから。
だけど……。
だとしたら、藍川はなんでこの部屋に来た事があるの?
この部屋であたしの髪を乾かすなんて……まるで、一緒に住んでたみたいだ。
一緒に―――……、
「一緒に、住んでた……?」
そんなわけない。
だって、藍川とあたしが一緒に住むなんてありえない。
恋人同士だったにしても、おじさんもおばさんもいるこの家で、藍川と同居なんて……。
おじさん達が許すハズがない。