恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「これが人間の女の強さ、ですか……。
人間で、そのうえ紫貴さまに守られる事しか知らないからこそ、そんなに真っ直ぐに咲いていられるんでしょうけどね。
本当は自分がどれほど儚いかも知らずに」
そこで藍川の視線が霧島さんを捉える。
と、同時に、霧島さんは真面目な表情を藍川に向けた。
「一年前の件は、私どもとは関係ございません。
紫貴さまのご両親の一件と同じように。私どもの指示でも犯行でもございません」
……犯行?
藍川の両親がいないのは知っていたけど、その原因までは聞いていない。
だけど、犯行だなんて、そんな言い方ってまるで……。
まるで、誰かに故意に殺されたみたいだ。
疑問に感じながらも黙っていると、藍川が呆れたように笑う。