恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
「今更ですよ。1年前から一度もその件に触れてこなかったのは、自分たちが悪い立場にいるからでしょう?
両親の件は、確かに貴方達とは直接は関係ないと思いますが……。
その裏には、貴方達の愚かな考え方があったと思っています」
「……それは否めません。ご両親や美朱さまを追い詰めたのは、私達かもしれません」
霧島さんの顔がわずかに歪む。
そして、目を伏せて続けた。
「一年前の事に関しては、確かにその話題には触れてきませんでした。
でもそれは、私どもが口出しできる事ではなかったからです。
つまり、あの事件は、藍川家の中で起こった事件だからですよ」
意味が分からなくて藍川を見上げる。
藍川は霧島さんの言葉に思い当たる節があったみたいで、眉を潜めていた。
それは、愕然としてるようにも見える。