恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
右の首筋から流れる血。
そこに雨が落ちて滲んでいくのが、大きな窓に映ってた。
『その条件、飲みます。その代わり約束は守ってください。
あたしが記憶を取り戻したら、その時は―――……』
『紫貴を、もう傷つけないって約束してください』
それを条件にした、灰斗さんとの契約。
それまでの、藍川との事。
……―――紫貴との事。
全部……、
全部、思い出した。
「……、紫貴―――……」
遠のく意識の中、紫貴の頬に手を伸ばしてそう呼ぶ。
かすんでぼやけいく視界の中で、紫貴が驚いた表情を浮かべたのが分かった。