恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


『悪いけど、仲良くはできない』

『……なんで?』

『俺、ヴァンパイアだから』

『……なに、その冗談』


笑おうとしたけど、紫貴くんは少し怖いくらいに真剣な顔をしていたから、作りかけた笑顔を元に戻す。

戸惑ってすぐに言葉が出なかった。


初めてまともに話してくれた事なのに、それがこんな突拍子もない事だなんて……。

ヴァンパイアだなんて言われたって、そんなのどう返事をすればいいのか分からない。


『……嘘じゃないの?』

『どうとるかはおまえの自由だ。でも、俺は嘘は言わない』


知識をひっくり返しても、『ヴァンパイア』に関係するものなんて、『吸血鬼』って事くらいで。

『吸血鬼』は、人間の血を吸う生き物だけど、それは現実にはいないハズ。


……なのに、紫貴くんが?

この2ヶ月普通に暮らしてたのに?

紫貴くんが、血を吸うの?


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