恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
【第二章】
「藍川くんと張り合って話せるとか、触れるとか。そんなの、くるみくらいじゃないの?」
「……なんで?」
ぼーっと藍川の背中を見つめていたあたしに、一連の事を見ていた祐ちゃんが話しかける。
「なんか話しかけにくいじゃん。オーラがあるっていうか。
誰とも関わりたくないっていうオーラを自分で出してるような感じしない?」
「そうかもしれないけど……でも話せば案外普通だよ。たまにムカつく事とか言われたりするけど」
どうしてもさっきの事に思考が飛んで行っちゃうから、祐ちゃんとの会話に意識を集中しながら話す。
藍川とのさっきのやりとりを見ていた生徒からの視線が、少しだけ痛い。
『今の見た? キスしようとしてなかった?』
『あの子、副会長でしょ? そういう関係なの?』
いろんな声が聞こえてきて、耳も痛い。
「だって、くるみに対しては態度違うもん」
「え、そう?」
「うん。全然違う。なんかくるみに対してだけ、雰囲気が柔らかい」