恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『ヴァンパイアだから瞳がそんなキレイな紫色なの?』
そこまで聞いた時、紫貴くんが不機嫌になった。
調子に乗って色々聞き過ぎちゃったのかと思っていると、その不安とは別の事を言われる。
『もっと他に聞きたい事があるだろ』
『他に……、えっと、あ、十字架とか苦手じゃないのか、とか?』
『他にだ』
『じゃあ……、あ、何歳まで生きられ……、』
『怖がれって言ってるんだよ!』
紫貴くんの初めての大声。
こんなに感情を表している紫貴くんも初めてかもしれない。
紫貴くんは、睨むように目許を歪めてあたしを見ていた。
『自分の血を狙ってるんじゃないのか、今まで誰かを襲った事はあるのか。
そういう事を聞いておくべきだろ』
『……それを聞いて、怖がれっていう事?
紫貴くんを怖がって、もう話しかけるなって事?』
『そういう事』