恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『くるみと並んで廊下歩いてたりすると、誰が特別な感情持ってくるみを見てるか分かるんだよ。
その気持ちが、やましいモノかどうかも。
斉藤に関しては、一度注意したらそれ以降静かになった。
峰はおまえのジャージを取り返しに行ったら震え上がって話にならなかったから、手を出すなってだけ言っておいた』
『……それ、2人とも紫貴にビビってたんだよ。
でも、そっか……。それであの時紫貴がジャージ持ってきてくれたんだ。
そっか……ありがとう』
知らない間に助けられて守られていた事を知って、堪らなく嬉しくなる。
嬉しさににやけそうになる口をきゅっと結んで、紫貴を見た。
『俺が勝手にやった事だから』
紫貴の想いは、いつでも大きくあたしを包んでいて、見返りなんか求めていないように注ぎ込まれる。
あたしはそれに気づいてるつもりだし、紫貴の気持ちに応えているつもりだけど……。
でも、本当はあたしの知らないところで、もっともっとたくさんの想いを渡されていたのかもしれない。
誰よりも優しくて、誰よりも……大切な人から。
キュっと苦しくなった胸に酸素を吸い込んでから、紫貴を見つめた。