恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『とにかく……、とにかくね、あたし、固いらしいの』
『……だからそれは、おまえの気を引きたいがために斉藤が、』
『それを、紫貴が確かめて』
真っ直ぐに紫貴を見つめて言うと、驚きを含んだ視線を返される。
直接的には言葉にしなかったけど……。
勘のいい紫貴は、今の言葉の意味が分かったのかもしれない。
あたしが何を言いたいのか、きっと気づいてる。
『固いかどうか、紫貴に確かめて欲しいの。
……少しくらい痛くても、我慢するから』
そう言いながら、胸のあたりまで伸ばした髪を片手で持ち上げる。
首筋を出して、そこを指で指し示すと、紫貴は動揺から眉を潜めた。