恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『くるみ、本気で言ってるのか……?』
紫貴の声が、震えて聞こえた。
『うん。本気。
……紫貴に咬まれたい』
『咬まれたいって……』
あたしの言葉に、紫貴は苦笑して……また切ない表情をする。
『……悪いけど、できない』
『なんでっ、』
『俺がくるみに牙を立てて傷つけるなんて、そんな事俺には、』
『だったら、あたしが自分で傷つけるから、紫貴はそこから飲めばいいよ』
筆箱の中からカッターを取り出そうと、その中を漁る。
あたしの行動に驚いた紫貴が、近くまできてそれを止めた。
あたしの手を掴む紫貴の手に、力が入っていた。