恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『俺の負けだ』なんて言って少し笑った後、紫貴はあたしの髪をすくい上げて、首筋に舌を這わせた。
『……っ』
いよいよなんだ……。
牙が立てられるのを、今か今かと待っていると、紫貴の手が不意をついて胸に触れた。
驚いて紫貴の胸を押すと、妖美に微笑まれる。
『ちょ、あの、とりあえず、血を……』
『血も身体も。どっちももらっていいんだろ?』
『だけど……っ』
『慌てなくても、ちゃんともらうから。……両方』
『……っ、ん……、』
落ちてきたキスが、いつもよりも強引にあたしの中に侵食する。
紫貴の手は相変わらずあたしの胸に触れたままだったけど、もうそれを注意する事はなかった。
優しく冷たい指先が、あたしの形を辿っていく。
熱い唇が、身体中に触れる。
『くるみ……、』
紫貴全部に翻弄されていた時、首筋にわずかな痛みを感じた。
痛みからじゃない熱い涙が頬を伝って、溢れ出す気持ちに目を閉じた。