恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
【第十二章】
『あたし、マゾなのかな』
紫貴の腕の中で言う。
頭の中はぼんやりとしていて、身体なんか校庭を何週か走った後みたいにぐったりしていた。
クーラーの効いた部屋の中で、紫貴はあたしが寒くないようにか布団を掛けなおしてくれる。
そして、おでこをこつんとくっつけてから微笑んで聞いた。
『なんで?』
『だって……紫貴に咬まれて、痛いとかそういうのよりも嬉しいと思ったから』
『……痛くないか?』
心配そうに聞く紫貴に、答えづらさを感じながら言う。
『首は全然……。他はちょっと痛いけど』
意味が分かったのか、紫貴は苦笑いを浮かべてから、距離を縮めて軽くキスをした。