恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『だけど、紫貴の事だけは頼まれなくても自分からしたいと思ったの。
使命感とかじゃない。
ただ、紫貴が好きっていう理由だからね』
紫貴が後になって悩まないように釘を刺すと、紫貴は困り顔で微笑んだ。
『分かった。ありがとな』
『……ちゃんと、おいしかった?』
『癖にならないように気をつけないとまずいくらいに。
……どっちも』
血がおいしかったか聞いたのに、そんな言葉と微笑みを返されてしまって。
あたしはまたしても恥ずかしさに俯くしかなかった。
紫貴があたしの血を吸うのは、多くても月に2回。
どれくらい吸ってるのかは分からないけど、吸われたからと言って翌日に支障が出たりなんて事はない。
多分、紫貴が色々加減してくれてるんだろうけど。
『1回でどれくらい吸ってるの?
っていうか前から不思議だったんだけど、血液型によって味って違うの?』
って聞いた時には軽く無視された。