恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


紫貴がそんなにたくさんの血を必要とはしない事。

初めて牙を突き刺される感覚。


そのふたつさえ分かっちゃえば、紫貴がヴァンパイアだなんて事、正直あたしはそんなに気にならない。


だけど、紫貴は違うみたいで。

ヴァンパイアの話題を出す度に、いつもつらそうに顔を歪める。


あたしの血を吸うことだって最初のうちは抵抗があるみたいだったから、何回も首筋を紫貴の前に晒して命令した。


『食欲と一緒でしょ。悪い事なんかじゃないんだから、欲しい時にちゃんと言って。

じゃないと毎日髪アップにして、紫貴の前に首筋晒して嫌がらせするから』


そう言ったら紫貴は呆れたのか笑って。


『本当に、くるみは……』って、あたしを抱き寄せて優しくキスをした。


それから、紫貴はやっと自分から血を求めてくれるようになった。



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