恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


ドキドキするような時でも心臓は落ち着いていたり。

かと思えば、なんでもない場面で勝手に速いテンポで動き出したり。


そういうのが起こるのも、決まって藍川が関ってきた時で。


なんだろう……。

なにかがおかしい。


「あれー、くるみちゃん。まんざらでもない感じ?」


にや~、って笑った祐ちゃんが首を傾げて聞いてくるから、首をぶんぶん振って否定する。


「違うよ! あたしは……その、ちょっと気になるだけだもん。

なんか藍川って他の人と違うし、そういうのって気になるじゃん」

「まー、確かにね。なんでも『王子様』らしいからねー」

「声とか、すごく胸に響いて離れないし、あの目に見られるとなんか説明できないような感情が沸いてきて、動けなくなるっていうか……。

時間が止まるっていうか……なんなんだろ、アレ」


みんながみんなそうだと思って言うと、祐ちゃんに顔をしかめられる。



< 26 / 343 >

この作品をシェア

pagetop