恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
ドキドキするような時でも心臓は落ち着いていたり。
かと思えば、なんでもない場面で勝手に速いテンポで動き出したり。
そういうのが起こるのも、決まって藍川が関ってきた時で。
なんだろう……。
なにかがおかしい。
「あれー、くるみちゃん。まんざらでもない感じ?」
にや~、って笑った祐ちゃんが首を傾げて聞いてくるから、首をぶんぶん振って否定する。
「違うよ! あたしは……その、ちょっと気になるだけだもん。
なんか藍川って他の人と違うし、そういうのって気になるじゃん」
「まー、確かにね。なんでも『王子様』らしいからねー」
「声とか、すごく胸に響いて離れないし、あの目に見られるとなんか説明できないような感情が沸いてきて、動けなくなるっていうか……。
時間が止まるっていうか……なんなんだろ、アレ」
みんながみんなそうだと思って言うと、祐ちゃんに顔をしかめられる。