恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
むっとして言い返そうとしたところで、ふと気付く。
ナイーブって事は……。
『つまり、精神的なモノからくる熱って事?』
またわずかに微笑んだ紫貴。
誤魔化されそうになっている事に気付いて、ぎゅっと紫貴の着ているスエットを掴む。
紫貴は伏せたままだった目であたしを見た。
『……紫貴。毎年、決まってこの時期に体調を崩すのって……』
もしかしたら、両親の事でなにか……。
じっと見つめる先で、紫貴はあたしをじっと見つめる。
『帰ったら、話すよ』
そして、それだけ言って困り顔で微笑んだ。