恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『俺が気にする』
『襲った事を?』
『襲った事も……それが原因で、嫌われないかって事も。
後から少しでも後悔するような事は、極力したくないんだ』
『嫌ったりなんか……』
『―――くるみを失いたくないから』
そうささやかれたあたしの顔は、真っ赤だったと思う。
オレンジ色のライトしかついてない部屋の中でも分かるほどに、きっと赤く染まってた。
紫貴のつらい過去。
それを聞いて、あたしの紫貴への気持ちは明らかに大きくなっていた。
今までだって、すごくすごく大きかったのに、それ以上に。
好き、なんて言葉じゃ表しきれないような気がした。
恋、なんて言葉じゃ軽すぎる気がした。
紫貴の手を、またぎゅっと握る。
ひんやりした体温が、あたしの体温と混ざり合う。
あたしが紫貴を守りたい。
そんな風に思った。