恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


そんな事があってから数週間が経って、季節はすっかり夏に変わった。


夏休みを目前にした、7月第二週の土曜日。

あたしは、中学の頃から仲のよかった祐ちゃんと買い物に出かけていた。


『祐ちゃん、昨日また男子振った? なんか放課後泣いてる男子がいたよ』

『なんで泣いてる男子見て、あたしを連想してんの? 

……まぁ、振ったけど』


悪びれず言う祐ちゃんに、『やっぱり』なんて呟きながら小さなため息をつく。


今日の祐ちゃんの格好は、Tシャツにデニムのショートパンツ。

すらっと伸びた足の先には、5センチくらいのヒールのサンダル。

シンプルな服装は、整った顔の下に着られているとまるでモデルみたい。


暑い日差しをうっとうしそうに見上げながら手をかざす仕草も、ドラマとかのワンシーンみたいだし。


『それより、くるみー』


にた、と笑った祐ちゃんにぐいっと肩を抱かれる。




< 279 / 343 >

この作品をシェア

pagetop