恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
そんな事があってから数週間が経って、季節はすっかり夏に変わった。
夏休みを目前にした、7月第二週の土曜日。
あたしは、中学の頃から仲のよかった祐ちゃんと買い物に出かけていた。
『祐ちゃん、昨日また男子振った? なんか放課後泣いてる男子がいたよ』
『なんで泣いてる男子見て、あたしを連想してんの?
……まぁ、振ったけど』
悪びれず言う祐ちゃんに、『やっぱり』なんて呟きながら小さなため息をつく。
今日の祐ちゃんの格好は、Tシャツにデニムのショートパンツ。
すらっと伸びた足の先には、5センチくらいのヒールのサンダル。
シンプルな服装は、整った顔の下に着られているとまるでモデルみたい。
暑い日差しをうっとうしそうに見上げながら手をかざす仕草も、ドラマとかのワンシーンみたいだし。
『それより、くるみー』
にた、と笑った祐ちゃんにぐいっと肩を抱かれる。