恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
……語尾を伸ばす呼び方。
嫌な予感がしながらちらっと見上げると、思った通りの笑顔を浮かべた祐ちゃんが視界に入った。
何かを聞き出そうとしてる感じの笑顔だ。
『藍川くんとくるみって、小学校からの関係らしいじゃん。
しかも訳あって同居中。
もう最後までしちゃってるんでしょ? 初っていつだったの?』
……街中の大きな道を歩いている最中なのに。
急にそんな事を聞いてきた祐ちゃんの手を払う。
道路を挟んで両側にファッション系やカフェのお店が並んでいる駅前のこの通りは、いつでも人が多い。
『知らない。っていうか、こんな場所で聞かないでよ』
『あたし達の話なんて、誰も聞いてないって。で、いつ? っていうかさー、くるみって大人しそうに見えて中学で既に済ませちゃってたのかー。なんかショック』
『だから、知らないって……、』