恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


そして、女の人を壁に寄りかからせるように座らせている灰斗さんに近づいた。


『こんな所でなにやってるんですか?』


急に話しかけたのに。

灰斗さんは、振り向いてすぐにあたしと目を合わせた。

まるであたしがいるって事を知っていたみたいに、驚きもしないで当たり前に答える。


『なにって、食事?』

『こんな所でして、誰かに見られたらどうするんですかっ?』

『記憶を消せばいいんじゃない? 

っていうか、くるみちゃん。俺がどこでどんな事しようと、くるみちゃんには直接関係ないんじゃない?』


にこっと微笑みながら言われる。


こういう人って、厄介で手ごわいと思う。

ヘラヘラしながら、いつも余裕そうな態度を取って、本心がつかめない。



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