恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『直接あたしに関係ないとしても、紫貴に関係する事だったらあたしにも関係あります』
じっと見上げながら言うと、灰斗さんも表情から笑みを消す。
その顔は、やれやれ、って感じに見えるけど、気にしないで続けた。
『もしもの時の事をもっと考えるべきです。
この事がバレた時、立場を悪くするのは灰斗さんだけじゃないんです。
……紫貴だって、嫌な思いをするかもしれない』
話しながら、こんな事を言ってもムダなのかもしれないって思う。
だって、灰斗さんは……、紫貴のお母さんを殺そうとする人だ。
それを思い出した途端、じわじわと怒りがこみ上げてくるのが分かった。
親の命令だからって、なんでそんな事ができたんだろう。
そんな事を子供に命令する親だっておかしい。
絶対におかしい。