恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


本当はそう思ってた。

だけど、それは人間として育ったあたしの考えであって、ヴァンパイアとは違うのかもしれない。


そうも思うから、簡単に何かを意見するべきじゃないと思って言わなかった。

でも、だからって、灰斗さんや灰斗さんのお母さんを憎まずにはいられなかった。

紫貴を傷つけた人達なんだから。


睨むように見ていると、灰斗さんが笑う。

それはバカにしているようにも、呆れているようにも見えて、面白くない気持ちになった。


『紫貴、紫貴って、そんなに紫貴が大事? 

紫貴が嫌な思いしたところでくるみちゃんには関係ないと思うけど?』

『……大切な人が嫌な思いをしたら、自分だって嫌な気持ちになります。そんなの、当たり前じゃないですか』


なんで関係ないなんて言うんだか分からなくて、不思議に思いながら答えた。


だけど、それを聞いた灰斗さんは一瞬驚いた顔をして……、

それから笑いを吐き出した。




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