恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『今はヴァンパイア同士で群れたりはしてないし、いかに人間と共存していくかって感じだから、ここを使う事はほとんどないけど。
集まるのは……、処刑者だとかが出た場合かな』
“処刑者”
その言葉にドキっとする。
灰斗さんは大きな門を開けながら続ける。
『人間を殺さないっていうのが、掟のうちの一つなんだ。
血を吸うのも、人間の命に支障がない程度にってね。
その掟を犯したヴァンパイアは、ここで処刑される。
数年に一度くらいいるんだよ。そういうバカなヴァンパイアがさ。
さ、どうぞ』
背筋がぞくっとする。
あたしが今から入ろうとしているのは、ヴァンパイアが殺される場所。
そんな場所に入って大丈夫……?
だって、この人は紫貴の両親を殺そうとしたりする人だ。
安全だなんて保障、どこにもない。