恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
聞くと、バカにしたように笑われる。
『賭け、ね。俺が約束を守るとでも思った?』
『……紫貴のお父さんの血を半分継いでる灰斗さんが、そこまで落ちぶれてるとは思いませんでした』
恐怖を感じながらも言い返す。
怖い。
逃げ出したい。
そんな考えが頭の中をぐるぐる回ってる。
でも、逃げたくない。
灰斗さんは、紫貴が向き合いたくない人だ。
だけど、紫貴が距離を置いたって、こうやって灰斗さんから近づかれたら向き合わなくちゃいけない事だってある。
紫貴が嫌な思いをするなら、代わりにあたしが向き合いたい。
あたしにはそれぐらいしかできないから。
だから。