恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『今から、くるみちゃんの中の紫貴に関する記憶を消す』
『紫貴の記憶を……?』
『そう。紫貴の事だけ真っ白にね。
くるみちゃんが一緒に住んでるおじさん、ヴァンパイアの事を知ってるみたいだし、協力してもらえるだろ』
『……おじさんの事までよく知ってますね』
驚いて言っても、灰斗さんは微笑んだまま賭けの説明を続ける。
『もちろん、周りからの助言は一切なしでね。
って言っても、学校内の友達だとかの記憶は俺が操作するから、誰からも助言はもらえないだろうけどね。
紫貴の記憶操作はしないけど。
契約の内容を知れば、俺を恨みはするだろうけど、きっと口出ししないだろうから』
『……なんでそう思うんですか?』
あまりに自信ありげに言うから、不思議に思って聞く。
灰斗さんはあたしをじっと見てから目を細めて笑った。