恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『気付いてました。
……でも、それはあたしが変えていきます。
今までだって何度も伝えてきたけど、紫貴が自信を持てるまで、これからだって何回でも伝えて変えていきます。
あたしは、ヴァンパイアだとか関係なく、紫貴が好きだから』
『だけどそれは記憶がある今だから言える事でしょ。
記憶を消したら、そんな風に思ってた事さえ忘れちゃうんだよ』
『……忘れたって、また好きになります。
もう一度、一から好きになったら……きっと、紫貴だって今よりも自信を持ってくれる。
あたしは紫貴じゃなきゃダメなんだって、分かってくれると思うから。
だから―――……』
『賭けをするって事?』
一拍置いてから、深く頷いた。
これ以上、灰斗さんに紫貴を苦しめて欲しくない。
軽い気持ちでまた紫貴の前に現われるような事、して欲しくない。
その為だったら、こんな賭け、なんでもない。