恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


自信があった。


こんなに紫貴ばかり想ってる自分を知ってるから。

この記憶が消されたって、また紫貴を好きになる自信。


『紫貴は引っ越してもらうなりさせるから。

学校くらいは一緒でいいよ。なんならクラスも。

一緒に住んでたって思い出せる可能性なんてほぼゼロだからね』

『……』

『だけど、くるみちゃんがそれでも紫貴を思い出せたら。

そしたら俺はもう紫貴やくるみちゃんの邪魔はしない。

それでどう?』

『やります』


灰斗さんによって、部屋と外部を遮断していたカーテンが開けられる。

大きな部屋の北側は、全面が窓ガラスだった。


ワインレッドの厚みのあるカーテンを半分あけたところで、灰斗さんが手招きをする。




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