恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



『……終了。危なかったね。ギリギリだった』


ぼんやりとした意識の中、灰斗さんがそう言ったのが分かった。

そして、次の瞬間には、紫貴の声がして―――……。


『くるみ……っ! くるみ!』


視界がかすむ。

まるで霧の中にでもいるみたいだった。


そんな中、あたしの身体を揺すってきつく抱き締める人は……。


手を伸ばしてその頬に触れようとしたのに、その途中で意識が完全に途絶えた。





『くるみ』


愛しい声。

愛しい体温。

薄紫色の瞳。


あたしの、誰よりも愛しい人。



あの人は―――……、





































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